へなへな脈絡

へなへなの社労士受験生です。動揺しながら日々を過ごしています。

【厚生年金保険法・在職老齢年金後編】在職老齢年金廃止はもしかしていい制度なの?

在職老齢年金の続きです。

そもそもこの「年金」ですが、1年にいくらいくら給付するので、年金といいます。
国民年金制度がベース、厚生年金保険を上乗せとして位置づけています。
この国民年金制度と厚生年金保険を公的年金といいます。
公的年金社会保障の一環として行われているので、民間の保険とは異なる点があります。
それは世代間扶養という考え方です。
現役世代の保険料でその時の高齢世代の年金を賄う仕組みをとっていますので国民年金は強制加入となります。
厚生年金保険は労働者の老齢、障害、死亡について保険給付を行い、労働者とその遺族に生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的としています。
厚生年金はあくまで上乗せ、労働者とその遺族が対象です。

話を戻します。
前回は特別支給の老齢厚生年金における在職老齢年金でした。つまり65歳までのある条件によっての支給停止、今回は65歳からの支給停止です。
こちらも同じく一定以上の報酬、賞与を受け取れるのであれば、年金の支給を調整するものです。
この制度を「60歳台後半の在職老齢年金」、「70歳以上の在職老齢年金」といいます。

また最初に語句の説明をさせて下さい。

支給停止調整額
平成31年度は47万円です。

その他はこちらで語句の説明をしています。
【老齢厚生年金・在職老齢年金前編】勝手にニュース解説! - へなへな脈絡

対象は、
①被保険者である受給権者
②国会議員又は地方公共団体の議会の議員である受給権者
③70歳以上の使用される者である受給権者
以上の者です。
この対象者である日が属する月において、その者の総報酬月額相当額と基本月額との合計額が支給停止調整額を超えるときは、その月の分の老齢厚生年金について、総報酬月額相当額と基本月額との合計額から支給停止調整額を控除して得た額の2分の1相当額に12を行じて得た額(支給停止基準額)に相当する部分の支給を停止します。

計算式にすると
(総報酬月額相当額+基本月額-支給停止調整額)×2分の1×12
こうなります

今回も過去問から例を出します。同じく平成27年の試験問題の数値を使います。

70歳以上の老齢厚生年金
基本月額15万円
標準報酬月額36万円
賞与の支払いなし

総報酬月額相当額(36万円)と基本月額(15万円)の合計額(51万円)が支給停止調整額(47万円)を超えているので支給停止です。
(51-47)×2分の1×12=24
支給停止は年24万円です。

在職老齢年金、なんとなくイメージして頂けたでしょうか。

この制度が高齢者の就労意欲を阻害して、賃金収入に問わず、全額年金が受け取れるよう、「在職老齢年金」の廃止も含めて検討を進めている、というニュースでした。

最初にこのニュースを聞いたとき、働いていたら調整されていた年金が満額支給になる。
厚生年金の受給権者で働いている人には良いニュースなのかと思いました。働きたくて働いているわけではなく、生活の為に働かざるを得ない状況の人にしたら助かるのかなと。
不公平感は減るかもしれませんね。
在職老齢年金として支給停止していた分の財源はどうするのか、どこで補うのかということも同時に思いました。
物価や賃金の変動、現役世代の人数の減少と平均余命の伸びにより年金額は決定しています。少子化、高齢化から年金額は減少するでしょう。
現役世代の保険料の負担が大きくなるかもしれません。
一度全額厚生年金を給付して、結局は別の制度で今までと同じくらいのお金が手元に戻るなんてことにならないといいのですが。

皆さんはこのニュースを見てどう思いましたか?



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