へなへな脈絡

へなへなの社労士受験生です。動揺しながら日々を過ごしています。

【厚生年金保険法・在職老齢年金前編】勝手にニュース解説!

在職老齢年金廃止含め検討、というニュースを見ました。ご覧になった方も多いのではないでしょうか。

老齢厚生年金の受給権者が、一定額以上の報酬、賞与を受け取れるのであれば、それで生活できますよね、と年金の支給の調整をしようというものです。

在職老齢年金、当事者でもない限りよく分からないのではないでしょうか。ぼくは厚生年金保険法を勉強するまで考えたこともないですし、当然そんな制度があることも知りませんでした。
せっかく勉強してるのでぼくにできる限りの解説をしてみます。

その前に語句の説明をさせて下さい。

特別支給の老齢厚生年金
60歳台前半に支給される老齢厚生年金。原則は65歳から支給される原則の年金(報酬比例部分)に、一定の要件に該当すればさらに定額部分が併せて支給されます。これは旧法では60歳から支給されていたものを経過措置として段階的に定額部分を廃止し、報酬比例部分年金に切り替え、その後報酬比例部分も廃止、最終的に60歳台前半の老齢厚生年金は廃止されます。

標準報酬月額
被保険者の報酬月額に基づき等級区分によって定めます。31の等級に区分され88,000円が下限、62万円を上限としています。

標準賞与額
被保険者が賞与を受けた月に決定されるものです。
1ヶ月につき150万円を限度とします。

総報酬月額相当額
標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得たとを合算した額

基本月額
老齢厚生年金そのものの額を12で除して得た額

支給停止調整開始額
平成31年度は28万円です。

支給停止調整変更額
平成31年度は47万円です。

【特別支給の老齢厚生年金における在職老齢年金】

60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者が被保険者である月に、その者の総報酬月額相当額と基本月額との合計額が支給停止調整開始額を超えるとき、当該老齢厚生年金が各区分に応じ、それぞれ定める額に12を乗じて得た額を支給停止します。

この区分は4つあるのですが、今回はひとつだけ例にします。平成27年の試験問題からの数値を使います。

総報酬月額相当額47万円以下
基本月額28万円以下
この場合
(総報酬月額相当額+基本月額−28万円)×12
が支給停止される額の計算式です。

基本月額20万円
標準報酬月額24万円
標準賞与額60万
支給停止後の年金月額を求めよという問題です。

総報酬月額相当額は29万円
24万円+60万円÷12=29万円
(29万円+20万円−28万円)×2分の1
これを計算すると10万5千円になります。10万5千円が支給停止です。
支給停止後は基本月額の20万円から10万5千円を引いた額である9万5千円が支給停止後の年金額です。

対象は、被保険者である受給権者、受給権者である国会議員、地方公共団体の議員です。

総報酬月額相当額と基本月額との合計額が支給停止調整開始額(28万円)以下であるときは支給停止されません。

今回は特別支給の老齢厚生年金における在職老齢年金の説明でした。
次回は60歳台後半の在職老齢年金、70
歳以上の在職老齢年金を説明します。


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【労働基準法・均等待遇、男女同一賃金の原則】差別禁止!

こんばんは。
管理人のサトウジュンです。

マイノリティとマジョリティ、自分がマイノリティにいるのか、それともマジョリティなのか、ある分野ではそうだし、違う分野ではそうじゃない。一般通念や価値観を自分の知らない間に他人に押し付けてはいないか、見逃してはいないのか、とても怖く思います。
そのためにも知らなかったことを知ること、一つでも増やしていかねばなりません。

今回は労働条件での差別禁止のことです。

均等待遇労働基準法3条)
使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取り扱いをしてはなりません。

差別の理由を
国籍
信条(特定の宗教的、政治的信念のこと)、
社会的身分(生来の身分を指します)
に限定(限定列挙といいます)されています。

おや、と思われた方もいらっしゃるかも知れません。
性別での差別は禁止されてないのかと。
そうだとしたら鋭いですね。
性別の差別はここには挙がっていません。性別による差別の禁止は「男女同一賃金の原則」と「男女雇用機会均等法」による規制があります。
労働基準法は昭和22年制定の法律です。当時の社会状況から、これらの問題が深刻であったと想像できます。

判例三菱樹脂事件」の最高裁判決によると、起業者は契約締結の自由を有し、雇用するにあたり特別の制限がない限り、原則として自由に決定できるとされています。
そこで雇入れについて特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもって雇い入れることを拒んでも、ただちに違法とすることはできないとしています。
雇入れを除く労働条件全般の差別的取り扱いの禁止を言っています。

次に男女同一賃金の原則労働基準法4条)です。

使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取り扱いをしてはなりません。

労働基準法では、賃金についてだけの差別的取り扱いの禁止です。
賃金以外の労働条件は、こちらも「男女雇用機会均等法」において禁止しています。
能力が等しいにもかかわらず女性の昇給が遅い、なんて具体例があるのですが、果たしてどうでしょう、眉唾物です。

この差別的取り扱いですが、不利に扱う場合だけでなく、有利に取り扱うことも含まれます。
結婚のため退職する場合女性に男性の2倍の退職金を支給、なんて規定は当然アウトです。

均等待遇、男女同一賃金の原則の違反は、
いずれも罰則が適用されます。
6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されます。

就業規則に差別的待遇の規定があるだけで、差別の事実がなければ、法4条違反ではない、という取り扱いがあります。

最初にこれを知った時は驚きました。
就業規則の規定は無効なのですが、これじゃあ、労働基準法の最低基準を知っていないと、もし違法行為があったとしても対処できないのでは、と思いました。
身近なことに関して知識をもつ、慣習に疑問を持つことも大切なのかも知れません。


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【労働基準法・労働条件】対等な立場って?

当ブログをご覧いただきありがとうございます。
管理人のサトウジュンです。

東京オリンピックの競技日程の発表がありました。スポーツにはそれぞれに事細かなルールブックがあります。
ぼくは野球を見ることが好きなのですが、例えば、ドーム球場の天井に当たった打球の判断など、この場合はどうなんだろう、なんてことがあったりします。ルールが改正されて戦術も変わることもあるでしょう。
ルールはその競技を楽しく、奥深く、熱狂できるものにしてくれます。
今回は働く上でのルール、労働条件の決定についてです。

労働条件の決定(労働基準法2条)

  • 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきもの。

対等の立場で決定、といってもむずかしいですよね。
ですので使用者は労働者の理解を深めるように労働契約の内容について、できるだけ書面で確認するものとしています。
この内容の理解の促進を労働契約法で定めています。

  • 労働者及び使用者は、労働協約就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。

労働協約
使用者と労働組合が締結する労働条件等に関する取り決めで、書面で作成、記名押印したもの。

就業規則
労働者の就業上遵守すべき規律、労働条件に関する具体的細目を定めた規則類の総称。労働者のルールブックですね。

労働契約
使用者と個々の労働者が締結する契約。労働者が使用者の指揮命令により労働力提供し、使用者は対価として賃金を支払うことを約束するもの。

これらの3つは労働関係において権利義務を定めるものです。遵守義務の対象です。
この労働条件の決定にも罰則はありませんが、労働者にも義務のあるものになります。
ですので、労働基準法に定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分について無効となります。この無効の部分は、労働基準法で定める基準によることとなります。
最低基準がわからなかったら、就業規則の見方も分からないといえるかも知れません。
会社で働く方は労働基準法を知っていても損はないと言えるでしょう。
対等な立場のために、知識があると自分の身を助けてくれるはずです。



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【労働基準法・定義】保護されて、責任主体


こんばんは。
サトウジュンです。

立場が変われば見え方が変わる、同じものを見ているはずだけど、相反するような意見の食い違い。
同じ映画を観ていても、面白いと思うところ、共感するところ、感想は人それぞれ、個人の価値観や生まれ育った環境で大きく異なるものなのかもしれません。

法律の上ではそれではいけません。
区別するように言葉で明確に限定する。
そんな定義についてです。

労働基準法は労働条件に基準を設け、さらに罰則をつけることで実効性を確保するものと前回の投稿で説明しました。

そこで今回は保護の対象は誰で、責任は誰になるのか、というお話です。

まずは保護の対象となる「労働者」です。

労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用されるもので、賃金を支払われる者です。

「使用される者」具体的には、
他人の指揮命令を受ける者であり、指揮命令を受けて労働を提供し、その労働の対象として賃金が支払われる関係の者です。この関係を使用従属関係といいます。
ですので、たとえ外国人の不法就労であっても労働基準法は適用されます。
不法就労労働基準法では管轄外ですからね。

使用従属関係にあるか否かで、労働者かの判断ができます。

次に責任の主体、「使用者」です。

使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者です。

「事業主」
事業の経営主体であって、事業主個人、法人の場合は法人そのもの

「事業の経営担当者」
法人の代表者、代表取締役

「労働者に関する事項について事業主のために行為をするすべての者」
労働条件の決定、労務管理の実施等に一定の権限と責任を有する者

単に上司の命令の伝達者に過ぎない者は使用者とされないと通達で明らかにされています。
責任の主体になり得る者は幅広いです。
1人の人が使用者にも労働者にもなり得ます。

この定義のもと労働基準法は記されていきます。

角度を変えても見え方は同じ、法律は至る所に定義があって、白黒はっきりしているところが面白さの一つなのかも知れません。


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【社労士試験・目的】目的もって思い切りよく!


こんばんは。お元気でいらっしゃいますか?
管理人のサトウジュンです。

何か物事を決断するとき、その人に魅力を感じるのは軸がしっかりしていること、というのがあると思います。
美意識と言いますか、その人の自分のルールに則って、基本観念として筋の通った行動を取り続けること。
信頼されるというのはそういうことなのかも知れません。

労働基準法にはそんな基本観念があります。

労働条件の原則(労働基準法1条)

労働者に人格として価値ある生活を営む必要を充たすべき労働条件を保障することを宣明したもので、労働基準法の解釈にあたり基本理念として常に考慮されなければならないものとされています。

原則1
労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければなりません。

労働条件とは、賃金、労働時間、解雇、災害補償、安全衛生宿舎等に関する条件を含む職場における労働者のすべての待遇のことです。

これに雇い入れは含まれません。労働基準法3条の均等待遇の判例でもあきらかにされています。

原則2
労働基準法で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければなりません。

社会経済情勢の変動等他に決定的な理由がある場合は労働条件を低下させても、この規定には違反しません。

もし、賃金を下げなければ倒産してしまう、なんて状況では仕方がないですから。

この労働基準法1条に違反しても罰則が科されることはありません。
努力義務になります。

このように各法律には目的があります。
目的が分かれば、社労士試験の問題を解く際のヒントになります。
実際に過去問を見るとこの目的が出題されています。重要視しているということでしょう。
勉強の際は目的を意識しながら進めていきたいですね。



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【労働基準法・時間外労働】うまく使えば時間はいつも十分にある?

当ブログをご覧いただきありがとうございます。
管理人のサトウジュンです。

1年は365日として8760時間。
1ヶ月を22日の勤務日、1日8時間労働として、1年は2112時間の労働時間。
およそ1日の24%を労働時間に当てている計算になります。
さらに出かける準備、通勤時間、休憩時間を含めるとさらに比率は大きくなります。
もっとさらに睡眠時間を入れると、それ以外の時間はどれくらいなのでしょうか。
ちょっと途方もないですね。
そこで今回はもっともっとさらに時間がかかる、そんな時間のお話です。

大手芸能事務所に労働是正勧告 アミューズ吉本興業LDH共同通信https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190414-00000003-kyodonews-cul

大手芸能事務所の労働基準法違反のニュースです。
上限を超える時間外労働による労働基準法違反により、労働基準監督署から是正勧告を受けたというものです。

なぜ、時間外労働がいけないのでしょうか?

本来なら民法契約自由の原則により、合意さえあれば労働者、使用者間の契約において労働条件は自由であるはずです。

しかし労働者、使用者では、使用者が圧倒的に有利なわけです。労働者にとって不利になる労働条件になる、というのは目に見えてます。なぜなら生活のための賃金は必要不可欠なのですから。

そのような労働環境から労働者を守るため、契約自由の原則を修正し、労使間の契約に対して法律が規制を及ぼしました。

労働条件に基準を設けるだけでなく、罰則までつけました。そうして実効性を確保したのです。

労働基準法は昭和22年に労働者保護の観点から、最低基準を定める法律として制定されました。

そこで今回のニュースから、時間外労働の最低基準です。
使用者は、法定労働時間を超えての労働、法定休日の労働させることができないのが原則です。
しかし、
1、災害等臨時の必要がある場合
2、労使協定による場合
を例外的に認めています。

例外はありますが、簡単に言うと法定労働時間は1日8時間、1週間40時間です。

2の方は労働機基準法36条に規定されているので、「36協定」(サブロクキョウテイ)なんて呼ばれてます。企業に働いたことがある方なら聞いたことがあるかもしれませんね。

その36協定ですが、※労使協定を締結し労働基準監督署に届け出ることで効力が生じます。
時間外労働をさせる理由は合理的なものである限り「忙しいから」でも構いません。

※労使協定
使用者と労働組合、なければ労働者の過半数代表者の書面の協定です。これは罰則を適用しないというものです。規制の緩和であり、順守義務はありません。

労働時間の延長の限度ですが、
・業務量
・時間外労働の動向
・通常予見される時間外労働の範囲内
において限度時間を超えない時間に限ります。
1ヶ月について限度時間45時間
1年について限度時間360時間

さらに、通常予見することができない業務量の大幅な増加に伴い、臨時的に労働時間を超えて労働させる必要がある場合、
1ヶ月について、休日労働含み100時間未満
1年間について、時間外労働のみで720時間以外
を限度として労働させることができます。
この臨時的の方は1ヶ月について45時間を超えることができる月数を1年について6ヶ月以内に限り36協定に定める必要があります。

違反には罰則があります。
時間外労働・休日労働の要件
6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金となります。

この時間外労働ですが、31年度試験の法律改正ポイントです。出題されるかも知れないですね。

最後まで読んでいただきまして、貴重なお時間ありがとうございます。


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もっと法律用語に身近になろう!

当ブログをご覧いただきありがとうございます。
管理人のサトウジュンです。

前回、法律用語について、身近になろうなんて言いましたが「許認可」について、全然わかってないような気がしてきました。
怖くなっちゃったのでちょっとまとめてみます。


許可
本来は禁止だけど条件によっては禁止を解除すること
(ほんとはダメだけど、許してあげないこともないよ)

製造等の禁止(労働安全衛生法55条)
重度の健康障害を生ずる物で、政令で定める(石綿等)ものは、製造、輸入、譲渡、使用してはなりません。
しかし試験研究のための製造、輸入、使用は都道府県労働局長の許可厚生労働大臣の基準に従って製造、使用することならば認められます。

認められるまで厳しいですねえ。


認可
法律上の行為に行政庁が介入して法律の効力を完成させること
(まあ、ダメじゃないけど、認めさせることができればいいでしょう)

任意適用事業所(厚生年金保険法
適用事業所以外の事業者の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、適用事業所とすることができます。
この認可を受けようとするときは、当該事業所に使用される者の2分の1以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければなりません。

少しゆるくなりました。保険関連ですね。


承認
国、地方公共団体の機関が他の機関、人の行為に与える同意のこと
(なにはさておき同意ですよ、同意)

確定給付企業年金法の実施(社会保険に関する一般常識)
厚生年金保険の適用事業所の事業主は、確定給付企業年金を実施しようとするときは被保険者の過半数で組織する労働組合(なければ過半数代表者)の同意を得て規約を作成し、
規約型企業年金については厚生労働大臣の承認を受けなければなりません。

受給権保護のための企業年金のことです。別の法人格設立すると、基金企業年金となり厚生労働大臣の認可が必要になります。


認定
ある機関が資格、事実、物事の程度を決めること(許可、認可、承認は他の行うことを許してるけどさ、認定はあることを認定自身が何らかのことを決めるよ)

職業能力開発促進法労務管理その他の労働に関する一般常識)
事業主等は、都道府県知事の認定を受けて、認定職業訓練を実施することができます。

都道府県知事が決めてるんですね。

自分でまとめてみて、イメージが掴めてきました。
条文をそのまんま形で覚えるのも良いですけど、言葉の意味を理解しながら読み進めていくと
「あれ、どっちだっけ?」なんて迷うことも少なくなるかもしれないですね。

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